苦労

外国人の人を苦労して案内した話

私の友人から、ある頼まれごとをしたのです。
それは、ホームスティしている外国人を案内してほしいという、ちょっと変わった頼まれごとでした。
私は、一応日常生活には困らないぐらいの英語は身につけていたので、軽い気持ちでいいよと言いました。

すると、待ち合わせ場所の駅にいたのは、フランス人だったのです。
とりあえず、名前を伝えて、意思疏通を計ったのですが、そこから先に進みません。
年齢的には、おそらく20歳前後の女性で、手にはあるアニメのイベントのチラシが握られていました。
友達に連絡をしてみると、彼女は大のアニメファンで、イベントに参加することを楽しみにしているのだそうです。
本当は友達が案内するはずだったのですが、友達はどうしても用事があるらしくて、私に頼んだそうです。
場所を案内するだけでいいと言われたのですが、その場所に行くのも簡単ではありませんでした。

言葉が通じないからといって、まさか無言で歩くわけにはいかないので、とりあえずカタコトでも交流しないとと、私はジェスチャー混じりに会話を試みました。
とても気さくで明るい人だったので、私のジェスチャーを見て笑ってくれました。
なんとか和やかなムードになってきた頃、彼女があるお店を興奮ぎみに指差しました。
そこには、美味しそうなたい焼きが。

私は彼女に日本のスイーツを知ってもらおうと、たい焼きを買いに行きました。
そして、戻ってくると彼女の姿がないのです。
え?どこに行ったの?とキョロキョロしてもどこにもいません。
もしかして、迷子?私は真っ青になって周囲を探しました。
でも、名前しか知らず、写真もなくてどう探していいのかわかりませんでした。
友達に電話をしても、留守電のメッセージが流れてくるだけ。
異国で迷子になった彼女は、きっとかなり心細いと思うんです。
そこで、歩いている人に片っ端に聞いて回りました。
まさか、単なる道案内がこんなに苦労するとは思いませんでした。

なかなか見つからず途方に暮れていたら、やっと見つけたのです。
彼女は近くのお土産屋さんで買い物をしていたみたいで、私にニコニコと手を振っています。
その爽やかな笑顔を見ながら、私は汗だくの額や頬を拭いました。

本当は、怒りたい気持ちもあったのですが、子供のようにたい焼きを頬張る彼女を見ていたら、なにも言えなくなってしまいました。
イベント会場に着くと、彼女を無事に送り届けることに成功しました。
帰りは友人が迎えにくることになっているので、私はそのまま帰りました。
かなり苦労しましたが、それでも誰かの役に立てたことは嬉しいと感じました。

-苦労
-,

Copyright© 日々新たに , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.