私は以前、ある研究機関で研究室のアシスタントとして働いていました。
その研究室の教授は他の研究機関の教授も兼任されていたため不在になることが多かったため、教授の代わりに研究室を取りまとめるリーダーを置く必要がありました。
その仕事を始めて数年間に一緒に働いたリーダーとは相性も良く、仕事を楽しくすることが出来ていたのですが、そのリーダーが他の研究機関に転職してしまったので、新しいリーダーを迎えることになりました。
彼の最初の印象は物腰が柔らかい感じでしたので、それまで通りに楽しみながら仕事が出来ると思っていたのですが、残念ながら徐々に彼は豹変して行って、私にパワハラをするようになってしまいました。
きっと彼は私が長年、働いてきて教授に気に入られていることが気に入らなかったのだと思います。
彼は私に嫌な仕事ばかりさせたり、何かあるごとに私に説教をするようになったので、私はどんどん精神的に追い詰められるようになりました。
そして食欲も無くなって、睡眠も出来なくなってしまったので、その仕事を辞めることを本気で考えていました。
でもそんな時に、人事課の部長から内線電話で連絡が来て話したいことがあると言うので、彼に会いに行きました。
すると彼は私がパワハラを受けていて辛い思いをしている事をある人から聞いて心配なので「部署異動」をさせることを考えていると言ってくれたのでビックリしました。
多分、私が体調を頻繁に壊して通っていた保健室の職員がその人事部長にコッソリ伝えてくれたのだと思います。
そして人事部長が提案してくれた「部署異動」をお願いすることにしました。
ただ私が他の部署に移ることになる場合、私がそれまでして来た研究室のアシスタントに就いてくれる後任を探す必要がありました。
人事部長がサポートしてくれたお陰で、その後すぐに色んな派遣会社などから数名の人たちが面接に来てくれましたが、残念ながら教授のお眼鏡に叶う人は居なくて困ってしまいました。
そんな時にまた人事部長が動いてくれて、人事課で短期期間だけ働いていた派遣社員の女性が私の後任として研究室のアシスタントをやってくれることになりました。
その事が決定した時、私は本当に嬉しかったです。
これでやっと他の部署に異動することが出来ると思うと精神的に楽になりました。
そしてその後任の職員に私は引き継ぎ作業を始めました。
その際、彼女は私に「研究室内で何か問題はありませんか?」と質問してきたのですが、私は正直にパワハラを受けてきたことを告げることが出来なくて、「何も無いよ」と嘘をついてしまいました。
そして彼女がリーダーから私と同じようにパワハラを受けないで欲しいと願っていました。
ですが残念ながら彼女は少しずつ、リーダーの悪い部分に気づきだして私に相談するようになっていきました。
そうなった時、私は彼女に嘘をついてしまったことを謝りました。
そしてその時の心境などを話しました。
でも彼女は私のことを許してくれました。
ですから私は彼女のことを一生懸命に支え続けました。
そして彼女はアシスタントとして成長して行きました。
彼女についてしまった嘘はずっと心に残っていますが、それでも私のことを許してくれて、事情を分かった上で仕事を頑張ってくれた彼女に感謝しています。
元同僚についてしまった嘘