生まれたときから結婚するまでの間は、何不自由のない暮らしができていました。
しかし結婚してから私は専業主婦になり、自分でお金を稼ぐということは10年以上ない生活を送ることになるのです。
月々1万円のお小遣いを主人から頂き、それで毎月暮らしていく生活スタイルだったのです。
しかし物欲の少ない私は、それで十分に暮らしていけていました。
その後夫の浮気が発覚して離婚することになり、私の貧乏な生活が始まりました。
離婚したら生活面の不安がありましたが、それよりも主人に裏切られたことがショックで早くこの人の傍を離れたいと思っていたのです。
離婚してから実家にお世話になろうと考えていたのですが、そう甘くはありませんでした。
私の家の家系で今まで離婚した人はおらず、父は私のことを恥だといいました。
もちろん家においてもらうことはできず、ひとり暮らしをしなくてはいけなくなったのです。
その時まだ働いていなかったので、今まで貯金していたお金で家賃3万円のアパートを借りることにしました。
そこは4畳半のひと部屋で、とてもかび臭く壁は黒ずんでいました。
壁が薄く隣の声が聞こえてくる程でした。
今までの生活とまるで違う場所だったので、自分が情けなくなり毎日泣き続けました。
10年間専業主婦で社会と離れていたため、働くということに少し不安がありました。
しかしとにかくお金を稼がなくてはという思いから、自宅の近くにあるパン屋で働くことにしたのです。
私は覚えが悪く、年下の従業員に怒られながらなんとか日々の仕事をこなしていきました。
陰口を言われることもあり辛かったですが、そこのお店の唯一良かったところは売れ残ったパンを持って帰っていいということでした。
食費が浮きますしパンは大好きだったので、毎日3食パンの生活になりました。
それでもパートとして働いているので、お店が暇な日は早く上がらされたり出勤の日も突然休みになることがあったのです。
そうするとお金がはいってこないので、節約のためにお風呂に入らなかったり遠くに行く時は電車を使わず歩くことも多々ありました。
なるべく電気も使わないようにして、夏はうちわで暑さをしのいだり冬は毛布にくるまってじっとして過ごしていました。
特につらかったのは、具合が悪くても病院に行けなかったことでした。
看病してくれる人もいなくて、お腹が減っても食べ物が無い時は本当に困りました。
そんな生活を送っていたら、離婚当初よりも5キロほど痩せてしまっていたのです。