2年前長期のお休みを頂ける事になり、約一ヶ月ほどオーストラリアのシドニーへ旅行に行きました。
泊まった場所には電車で向かったのですが、近くの街に出るには、バス移動の方が何かと便利だった為、慣れるために毎日乗っていました。
海外には2度しか行った事が無く、また英語が得意ではない私は、ガイドブックや携帯とにらめっこをしながら何とか周りの人と会話をして、日常会話を身につけていきました。
オーストラリアの生活にも徐々に慣れ始めた、そんなある日の事です。
いつものように街から宿泊場所へ帰ろうとバスに乗りました。
特に体調も悪くなく、何か考える事もなく過ごしていたのですが…
元々バスが動いている際に起こる振動が苦手だった私。
その事をすっかり忘れていました…
お腹の痛みは突然やってきました。
そして脳裏に浮かんだ言葉は「トイレに行きたい。」
しかし、目的地まではまだまだ遠く、そこまで耐えられる程の余裕はありませんでした。
とにもかくにも次のバス停で停まってもらわなければ、と感じ、慌てて運転手さんに声を掛けました。
(私が泊まった所のバスは、降車する際の押しボタンが無く、自ら運転手さんに降りる意思を伝える方式でした。)
無事バスを停めてもらい、降りる事が出来たものの、ここからが本当の闘いの始まりでした。
とりあえず周囲を見回しましたが、トイレは見当たらず、それどころか夕方の時間帯だった事もあり、人もほとんど居ませんでした。
(あちらこちらにお店はあるものの、一般的なカフェは何処も午後五時頃にはしまってしまう為、私が降りた時には閉店していました。)
ですが、本当に緊急事態だった為、恥ずかしい気持ちを抑えて、閉店の札の掛かる扉に一生懸命ノックをしました。
必死に声を掛けても誰も出てきません。
お腹を抱えながら何ヶ所も回りましたが結局結果はどれも同じで…
最悪の事態が脳裏に浮かびながらも諦めず必死に探して回りました。
そんな中。何と日本人らしき人が近くを通ったのです。
慌てて傍に駆け寄り、尋ねてみました。
そうすると歩いてすぐの所に駅があるとの情報を得ました。
とても親切な方で駅まで案内して下さるとの事で一緒に向かいました。
そして無事、事なきを得たのです。
あの時は本当に必死でどうなるかと思いましたし、人生でこれほど恥ずかしい経験をしたのは初めてでした。
たまたま目の前を通り、優しくして下さった日本人の方には感謝しかありません。
苦しさと恥ずかしさでいっぱいでしたが、本当に助けられた瞬間でした。