生きた心地がしない

幼子を抱えて立ちすくんだ日

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息子は今年で22歳になります。

無事に成人を迎え、いまや社会人になったその息子にまつわる生きた心地がしなかった体験を紹介したいと思います。

忘れもしない今から20年前の桜咲く4月のできごとです。

あの日は、上の5歳の娘と2歳の息子の保育所の入園式でした。

引越したばかりで周りに知り合いもいませんでしたが、主人は仕事で来れなかったため私はひとり入園式に参加し、2人の成長を感慨深く思いながらもセレモニーは無事終了しました。

・ショッピングセンターへ

入園式のあとで2人を連れて昼ご飯でも食べようと、近所のショッピングセンターへ行きました。

その店にはキッズスペースというエリアがあり、小さい子どもが靴を脱いで遊べる、柔らかい素材のブロックや登ったり降りたりできる滑り台のようなものがあって、そこで子ども達を遊ばせるのがお約束になっていました。

あの日も、まずフードコートで食事を済ませ、隣接されたキッズスペースへ待ってましたと言わんばかりに2人は向かっていきました。

柔らかいビニール素材のおもちゃで作られたそのスペースは【くつは脱いで遊びましょう】と注意書きもされているため、すでにいた他の子ども達も全員靴は脱いでいます。

5歳の娘は自分で靴を脱ぎ、2歳の息子は私が靴を脱がして、あの日もいつものように平和に何事もなくただ遊んで帰るはずでした。

・・あの瞬間が来るまでは。

子どもが遊ぶ間、私はすぐ近くのベンチに座って2人を眺めていました。

息子は乗り物が好きだったので電車のおもちゃを転がして動かして遊んでいました。

その電車が少し離れたところまで転がったので、それを取りに行こうとした時でした。

息子がステンと滑って背中から転んでしまいました。

・思考停止

子どもが転ぶのはよくあることなので、その時もいつもの事だと特に焦りもしなかったのですが、すぐ泣く息子の泣き声がしてこないどころか転んだまま立ち上がらなかったのです。

異常を察した私はすぐにそばに寄り、息子を抱き上げました。

力なくだらんとしていて急に眠ったかのように見えましたが、そんなはずもなく頭の中が真っ白になりました。

どうしよう・・どうしたらいいんだろう・・パニック状態になっていたと思います。

そのまま息子を抱き抱えたまま歩き始め、上の娘も異常を感じ取り私のうしろへついてきていました。

誰かに助けを求めることも自分で救急車を呼ぶこともできずに立ちすくんでいた思考停止の私に、店員さんが駆けつけ声をかけてくださり、通りかかった女性が救急車を呼んでくださいました。

結果、病院で検査をしてもらった息子は何の異常も見つからず無事だったのですが、本当に生きた心地がしない出来事でした。

ちなみに後日、そのキッズスペースは床に滑り止めシートを敷かれました。

・まとめ

洒落にならないくらいの大きなショックを受けると、人間は思考停止して身体も動かなくなることがあるのだと身をもって知った瞬間でした。 

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