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病気療養のための一年間の無職生活

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長く勤めていた会社で大規模な組織改革後がありました。上司を含め、たくさんの人事異動があり、私もその対象となりました。

大きく変化した労働環境が原因で私は病気になり、一年間の無職の時期を経験することになりました。あの一年間はずっとお金ばかり数えていたように思います。

「あといくら」「この金額で何日分」という風に。その一年は本当に貧乏でした。どんどん減っていく貯金額が恐ろしく、病気療養とは言え、心が休まった瞬間なんてありませんでした。

会社はほぼ自主退職に近い形で辞めることになり、失業保険は3か月後の待期期間があります。病気の為に外出も辛い中、失業保険の手続きの為の外出までできる余裕はありませんでした。

他に代理で手続きをしてくれそうな人もおらず、結局失業保険を受け取ることはできませんでした。私には手元にある貯金だけが全てでした。

私がまず確認したことは、通院の為の費用計算です。交通費、診察台、薬代。できるだけ節約したいところですが、病院にかかる費用で削れるところはほとんどありません。

せめて自転車や徒歩で通える病院を探して、交通費を削るくらいです。それも体に無理のない範囲で探さなくてはなりません。病院の良し悪しよりも、通えるかどうか。病気をとにかく治すことだけを考えました。

次に食費、光熱費を削ろうと通院費用を除いた金額から一か月にいくら使うかを決めました。それを一日分に割り、たったこれだけかと思いました。行ける範囲で安いスーパーを探し、ひとつ9円のもやしを買い、一食に半分ずつにして食べました。

主食としたのはお米です。味や安全性よりもとにかく安いものを選びました。他にも見切り品があれば必ず確認して、食べられそうなものを探しました。

こんな風に食材を探したことはなく、心は惨めで誰にもこんな姿を見られたくないという気持ちでいっぱいになりました。

顔色も悪く、貧相な恰好をした女性がスーパーの見切り品を物色する姿なんて想像しただけでも恥ずかしくなり、すぐにでもその場から逃げ出したくなりました。

けれど食べるものがなければ生きていけません。その日から買い物が嫌いになりました。

通院の日は更に心が抉られる気持ちになりました。病気を治す為に通院しているけれど、都度変わっていく薬の処方に気が気ではありません。

薬によっては金額も異なり、先の予想がつけられないからです。先生が「これはこういう症状に効くお薬だから、何日分を出します」と言われると、一体その薬にいくらかかるのか、本当にその薬でなければいけないのかという思いが頭を過ります。

けれど先生に質問することは恥ずかしくてできません。「お金を持っていなささそう」と思われていたとしても、自分から「貧乏です」と断言するような言葉は決して言うことはできませんでした。

調剤薬局ではお薬手帳に「ジェネリック医薬品希望」のシールを貼っておいたので、言葉にしなくても伝わることにとても安心しました。これで少しでも節約できると。

家での暮らしも節約をしていました。できるだけ電化製品を使わず、日が暮れれば眠るような暮らしです。外から見たら、誰も住んでいないかのように見えたかもしれません。

料理も最低限のガスだけで済むように、簡単なものしか作りません。数日分をまとめて作り、冷蔵庫に入れていました。

温めはしたりしなかったりです。温めにレンジを使った電気代は一体いくらになるのかと思うと、貯金を目減りさせることはできずに冷たいままのご飯をよく食べました。

心が細くなっていくような暮らしに、私は退職を決めた自分の判断を憎みました。もっと我慢していれば、もっと耐えていれば。もしかしたらまだ会社勤めを続けていられたかもしれない。そうしたらこんな貧乏暮らしをしなくても良かったのにと。

無職になって半年が経った頃、貯金額も約半分まで減りました。半年でいくら必要になるのか、この生活はあと半年は続けることができるとわかった時、ほんの少しだけ安心しました。

今の生活費にいくらかかるのかがはっきりしたからです。

けれど、あと半年の内に病気を完治させ、新しい仕事を見つけて給与を得なくてはなりません。

そして残り半年で病気をほぼ治し、どうにか新しい仕事を見つけることができました。

給与は以前よりも安くなりましたが、職場環境が落ち着いていて、長く勤めることができそうな会社です。

あの一年は人に会うことが嫌で、人の目に晒される通院と買い物が何よりも嫌いでした。

今思えば、ただの病気療養期間であったはずなのに、いつも悪いことをしているような気持ちでした。前を向けず、下ばかり見て歩いていたと思います。

お金がないだけでこんなにも貧相な気持ちになってしまうなんて、貧乏は人を変えるのだとわかりました。もう二度とあんな貧乏暮らしはしたくありません。

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