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お薦めの本

三島由紀夫「春の雪」を読んで

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今日は「春の雪」をお薦めします。これは三島由紀夫さんの遺作である「豊饒の海」という4部作からなるシリーズの第一作目にあたる小説です。

恋愛の要素が強い作品ですがシリーズ全体で見れば日本純文学における総合小説と言ってよいと思います。

豊饒の海は輪廻転生をベースとして様々な登場人物の思想や人生観、恋愛模様や友情関係、また親子や夫婦関係、そしてインド思想や仏教などが絡み合いストーリーが展開していく物語です。

その第一巻である「春の雪」は4部作の中でも言わずと知れた名作中の名作で、度々舞台や映画にもなっています。

主人公は侯爵家の息子で学習院に通う男子学生で、幼少期に預けられていた伯爵家の令嬢と恋仲になりますが、運命により引き裂かれ悲恋として終わり、この主人公が亡くなってしまうところで「春の雪」は終わります。

作品の見どころは複数あります。まずは三島由紀夫の美しく完成された日本語です。言葉は生き物と言うだけあって書物も50年昔のものであれば立派な古典と言うことができます。

この作品が発売されたのが1969年ですので今の感覚で読むと言葉遣いや言い回しなどが気になるかと懸念されますがそんな不安は一切なくなります。

昔ながらの日本語の中にも想像の翼を大きく働かせた比喩や暗喩、ストーリーの転換する場面での鋭い表現方法など目を見張るほどの語彙力と構成力で素晴らしい日本語に触れることができます。

次に時代設定が明治末期から大正にかけて描かれている点です。登場人物は当時の華族である設定が多いのですが会話文1つ取っても見事に優雅なものとなっています。

ヒロインである伯爵家の令嬢を周囲の人が「宮さま」「おひい(姫)さま」と呼んだり、主人公の松枝清顕が実の父親を「ファーザー」と呼ぶなど当時の日本華族の人々の優雅で文明化された生活ぶりが至るところに散りばめられており読んでいるだけでもわくわくしてきます。

特に面白かったのは殿下と婚約をしながら清顕と恋仲になってしまったヒロインの聡子が出家してしまうクライマックスのシーンです。

生まれながらにして何不自由なく暮らし、地位も名誉も財産も約束されているお坊ちゃまの清顕が初めて自分の手で本当に得たいものに気付きます。雪が降る中何日も聡子に会えるのを望んで寺門の前で命を燃やす情熱に胸を打たれます。

「豊饒の海」四部作の全体として見れば一巻目という物語のスタートとしての役割を担っている作品でもありますが、「春の雪」という1つの完成された作品としても十分に楽しめる、ぜひお薦めしたい本です。

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